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第16話 戴冠式と初仕事へ

Author: 波 七海
last update Huling Na-update: 2025-12-27 17:32:27

 ついに来るべき刻が来た――

 神星樹の王城ヴァンドスラシルの外に広がる大庭園で魔王就任の戴冠式が行われる。

 妖精族の国家リーン・フィアの首都フィアヘイムが帝都になる日だ。

 新魔王となるシャーロットは王城内の控室で、柄にもなく緊張してそわそわを抑えられずにいた。

 フェイトとブラッドが控える室内で、落ち着いて座っていることも出来ずに、行ったり来たりと忙しない。

「シャーロット様、少し落ち着いて下さい。儀式自体は簡略化されておりますのですぐに済みますので」

 少しでも気休めになればと、フェイトがいたわりの言葉を掛けるもシャーロットもこれからのことで頭が一杯だ。

 戴冠式で何かやらかさないかより、魔王になった後のことを心配しているのである。

「魔王陛下、ご心配には及びませぬよ。陛下の美貌と魅力の前には全ての魔族がひれ伏すでしょう」

 ブラッドも何か、よく分からないことを言い出したが、美貌と魅力とは?と自問自答せざるを得ない。

 寝言でも言ってんのかとばかりに、シャーロットは呆れた目を彼に向けた。

 ようやくシャーロットが席に腰を押し付けた頃、妖精族の神官の1人が儀式の開始を告げに控室へやってきた。

 魔呪刻印インキューズメントが発現した刻――と言うよりバムロールを殴り飛ばした時点でシャーロットの覚悟は固まっている。

 魔王就任には全く異論はない。

 そう。異論はないのだが、流石に荷が重いのでは?とは思っている。

 背もたれのない椅子から立ち上がったシャーロットの漆黒のドレスがさらりと垂れて、衣擦きぬずれの音が優しく耳に届く。

 その大きく開いた背中からは妖精の羽が露わになり、意志とは無関係にゆらゆらと揺らめいていた。

 控室は大庭園の会場からほど近い場所に用意されており、シャーロットたちはすぐに戴冠式典場へと到着した。

 急ごしらえの祭壇と儀式台にしては意匠を凝らした美しい造りになっており、どれもが妖精の大森林ホッドミーミルの大樹から削り出された逸品である。

 とても急造の会場だとは誰も思わないだろう。

「新たなる魔王! 魔呪刻印インキューズメントが発現せし者、全てを統べる者、妖精族の女傑、その者の名はシャーロット・マクガレル!」

 恭しく言い放った龍族の大神官長の言葉に従って、壇上に姿を見せるシャー
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